イタリアのニッチな歩き方:STREET ARTS(7)
(7)正統派STREET ARTS:大道芸人
イタリアでは中心市街地を歩いていると、ちょっとした広場で大道芸人のパフォーマンスを楽しむことができます。凝った服装で何種類ものジャグリングを次々にこなすプロのパフォーマーであったり、銅像だと思って何気なく通り過ぎようとするとわっと驚かされたり、そっと現れて大きなシャボン玉をひととき作って子ども達を楽しませてくれるパフォーマンスであったりとさまざま。
かなりのパフォーマーであれば、ちょっとした人だかりができており、パフォーマンスの組み立てもしっかりとされているのでなかなか見応えがあります。そして投げ銭入れの帽子やバッグなどが置いてあるのですが、意外にも(日本人の私にとっては)皆さん小銭をポンポンと入れていきます。それは、日本人が戸惑う《ヨーロッパでのチップの風習》に通ずるところがあるのだろうと感じました。現在、イタリアではチップを払う風習はかなり廃れてきていますが、それでも、楽しませてもらった対価として払う意識や習慣がちゃんとあるのだと感じました。家族でパフォーマンスを見ていた子どもが、お父さんやお母さんから小銭をもらって投げ入れる光景もよく見られます。そんな些細なところからもその意識は育てられているのでしょう。
余談になりますが、上記のパフォーマンスとはまた別に、赤信号の間に横断歩道でミニパフォーマンスをみせるパフォーマーもいます。彼らの多くはアフリカ系移民のようです。現在、イタリアでも移民問題が政治上の論点になっていますが、それをふまえて考えてみると、彼らのパフォーマンスは、決してプロとしての大道芸パフォーマンスではなく、日々生きるためのお金を稼ぐ手段であると思われますので、同じパフォーマンスであっても、その目的には大きな違いがあることがわかり、うーんと考えさせられます。