ひらく*つくる*暮らす

人生とは、自分でいくつもの扉をひらき、こつこつとつくりあげていくもの。イタリアと鳥取に住まうアラ還国際婚夫婦が、幸せになるヒントを追求&発信するblogです

イタリアのニッチな歩き方:STREET ARTS(4)

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(4)許されざる悲しい落書き

 さまざまな落書きを紹介してきましたが、しかしながら、やはり落書きは許されざる行為であることには違いありません。「壁へのペイントであるなら塗りつぶしてしまえばいいのだから・・・」という理由も成り立つはずもありません。STREET ARTSとして見ながらも、これらの落書きがなければ、もっともっと美しい国、街並みであることには違いなく、やはり残念なことです。ただ、これらはイタリア人のみならず、外国からの観光客によるものも少なからずあるのではないでしょうか。
 写真は、フィレンツェを代表する歴史的遺産「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」の鐘楼で撮影した落書きです。みなさんもご存じのとても美しい教会です。ところが、フィレンツェを一望できる鐘楼の階段の壁面、それを登り終えた展望台は、悲しいかな、たくさんの落書きであふれています。《落書きをしないで!》という掲示の周りにもこの有様。そして、さらに悲しいことに、明らかに日本人と思われるカップルが描いたマジックでの落書きも。もしかすると新婚旅行で訪れたのかもしれませんね。《二人の旅行の記念に》と気軽にしてしまったものでしょう。しかし、それが、貴重な文化遺産を傷つけ、後世まで残していこうとするイタリア人の努力に対する侮辱的行為であるとは、さらさら考えもしなかったことでしょう。これを見た瞬間、ただただ悲しく、楽しいはずの眺望が胸苦しいものになってしまいました。
 日本の団体ツアーで海外旅行に出かけると、人々は異国の何を観ているのだろうと思うことがあります。買い物であったり、美味しいモノを食べることであったり、有名な観光スポットを巡ることであったり、もちろん人それぞれ目的は違ってよいのです。しかし、自分の普段の価値感は半分ぐらい日本に残しておいて、日本とは異なった文化や常識、見方・考え方を理解しようとする心の空間をつくっておく。そして、どの国においても大切にすべきこと―誰もが心地よくいられる「人間」としての品格ある心配りは忘れずに、そうして出かけると、もっともっとたくさんのことが見えてくるでしょうし、経験できるように思うのです。みなさんはどう思われますか?