ひらく*つくる*暮らす

人生とは、自分でいくつもの扉をひらき、こつこつとつくりあげていくもの。イタリアと鳥取に住まうアラ還国際婚夫婦が、幸せになるヒントを追求&発信するblogです

『日本人の背中』(井形慶子)集英社文庫

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(2)まじめ、清潔、勤勉な日本人

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 まじめ、清潔、勤勉とされる日本人は、アメックスカードのように海外で信用が高く、留学生ですら、ホームステイさせたいナンバーワンという評価をされています。かつてオーストラリアのブリスベンでは、「日本人学生以外お断り」と、受け入れ家庭がこぞって日本人を指定したほどでした。(pp.5)
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 Fabの仕事は、イタリアのトリノ中央駅にあたるトリノ・ポルタ・ヌオーバ駅にほど近い築200年ほどの建物にあるアパート経営です。主に、店舗や学生を中心に貸していますが、上述したようなことと同じような話がでます。主にデザインを学びに海外から学生がくるようですが、引っ越し後の状態をみれば、どれだけこの仕事が大変かということがよくわかります。日本では、荷物を全て引き払い、掃除をして、修繕等の必要な場合にはそれを引かれた敷金が返ってきます。それが、日本人の常識ですよね。でも、Fabの経営するアパートの退居後には驚愕しました。いらないモノはすべてそのままなのです。家具だけならまだしも、食器や衣服でさえも放置されていることもあります。ですから、部屋やバス・トイレがどんな状態であるか、予測がつくことでしょう。トイレは黄色く変色し、長きにわたってこびりついた汚れは磨いてもとれません。昨年、インドの留学生が退居しましたが、それ以来、空きがあったとしてもインド人には部屋を貸さないことになりました。というのも、海外留学する家庭のインド人は裕福な家庭で育っているため、掃除洗濯をしたことがないそうです。それゆえ、部屋が大変な状態であったのに加え、スパイスの香りが部屋中にしみついていたため、壁・天井を塗り替えるなど、業者に頼んで特別のクリーニングが必要になったからでした。もちろん、修繕費はFabのカンパニーからの持ち出しです。
 また、今現在の問題なのですが、新しい入居者を迎えたのはいいのですが、電気がつかないという連絡がありました。実は、前の入居者が電気代を未払いのまま退居したらしく、送電がストップされていたのでした。連絡しても、払うつもりはない態度は崩さず、送電のためにはFabが肩代わりをせざるを得ないのか・・・そんなトラブルのまっただ中で、「もしできることならば、日本人だけに貸したい!」とこぼしています。日本人の常識は、欧米人にとっては理想的なあり方のようです。

 

『日本人の背中』(井形慶子)集英社文庫

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◆7.『日本人の背中』(井形慶子集英社文庫

(1)はじめに
 私の世界への憧れは、子どもの頃は兼高かおるさんのテレビ番組「世界の旅」で、そして、大人になってから実際に世界へ出かける背中を押してくれたのが、井形慶子さん(1959生まれ)の本を読んだことがきっかけでした。井形さんは、現在、東京とロンドンを行き来しつつ、イギリスの生活文化、住宅や地場産業について執筆されているジャーナリスト&エッセイストです。シングルマザーでありながら、子ども連れでエイ、ヤ-!と渡英し、28歳でイギリスの暮らしをテーマにした情報誌「ミスター・パートナー」を創刊。そして日本とイギリスを行き来するなかで、自分の見聞きしたもの・ことをもとに、たくさんの本(『イギリス式「おばあちゃんの知恵」で心地よく暮らす』、『雑貨・服 イギリス買い付け旅日記』、『今すぐ会社をやめても困らないお金の管理術』、『イギリス式 お金をかけず楽しく生きる』『イギリス式 月収20万円で愉しく暮らす』など)を執筆されています。彼女の生き方や価値感そのものが本になっていますので、見知らぬ世界への歩み出し方や心の有り様、勇気、暮らしの中の楽しみの見つけ方など、知らず知らすのうちに気持ちを後押ししてくれる・・・そんなエッセイストです。
 近年、外国からの観光客が増えている日本ですが、日本人からすると当たり前でも、外国人からすると不思議なこと、驚くことがいっぱいあるようです(Fabを見ていてもそうですが)。そこで、今度は、井形さんの『日本人の背中:欧米人はどこに惹かれて、何に驚くのか』(2010)という本をもとに、それを掘り下げていこうと思います。
参考:『日本人の背中:欧米人はどこに惹かれて、何に驚くのか』(井形慶子集英社文庫

【つくる】「紬」でつくる

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11.紬でつくる③:完成!ドレスでおでかけ

 作り始めると、最後まで仕上げないと気になって仕方がないので、結局、パターン引きから3日間で完成しました。ちょっとした外出に気軽に羽織れます。ベルトをしないでブローチで前を止めればゆったりとしたサックワンピースとして、ベルトをして着こなせば、かつてのクリスチャン・ディオールの「ニュールック」(8の字のように、細く絞ったウェストとゆったりしたフレアスカートが特徴のスタイル)のようなクラシックなスタイルになります。そして、襟や見返しに施したオレンジの配色がオーダーメイド服であることを醸し出しています。着てみると、とても軽い!それに薄地の割に温かで、ゆとりもあるので着心地は申し分なしです。
 ということで、今日は、お洒落をして小さなフランス料理のレストランに出かけることにしました。このところGパンにシャツの毎日ですが、久しぶりに背筋をピンとはり、イヤリングをつけ、ハイヒールをはいてお出かけです。 

【つくる】「紬」でつくる

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10.紬でつくる②

 購入した紬の柄に似合うデザインとは・・・気軽に羽織れる薄手のコート?長めのトップス?ワンピースドレス?・・・いくつかのソーイング本を眺めながら、写真にあるようなトップス(前丈よりも後丈の方が長くなっているゆったりとしたデザイン)を元に作ることにしました。ただ、このパータン通りに前を縫い止めてしまうと羽織モノとしては着られません。それに世界に一つの品であれば、お洒落にも着こなしたいから、ワンピースドレスとしても使えるようにしたい!・・・と、基本の型は決まったものの欲がどんどん出てきます。それを満たすデザインとは?
 結局、前あきとして少々デザイン変更。気軽に羽織るときはそのまま引っかけて出かける。ボタンはやぼったくなるのでつけない。ドレスとして着こなすときは取り外し可能の補助ベルトで叩けないようにして、太めの革ベルトでウエストをマークすることにしました。そして、オーダーメイドならではの個性をだすために、台襟と襟裏、右見頃の見返しにオレンジ色の絹地を配色しました。既製品では決してあり得ないデザインで、しかも絹100%素材。さあ、仕上がりに乞うご期待!

参考:ミセススタイルブック 夏のおしゃれ手帳2019(文化出版局

【つくる】「紬」でつくる

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9.「紬」でつくる①

 鳥取にある「オフハウス」で、古い紬の反物を見つけました(なんと1000円!)。着物のリメイクするとき、古い着物を買うと、それをすべてほどいて、手洗い、乾燥、アイロンをかけてようやく一枚の布になります。しかも、よく着込まれた物であれば、変色、シミやすり切れが多く、リメイクとしてどのくらい活用できるかはほどいてみないと分かりません。特に、インターネットで着物を購入するとなると、かなりのリスクがあります。その点、店舗販売の着物であればある程度の品質はチェックできますし、反物であればすぐに制作に取りかかることができます。
 また、着物であれば、素材の表示がありませんから、光沢、手触りでおおよその見当を付けなければなりません。アセテートなど絹の代用品として開発された化学繊維もありますので、時には、絹だと思って買っても、針通りの悪さからあれっ?と思うことがあります。そこで、どうしても絹か化学繊維の別が知りたいときは、大学の時に得た知識を活かして、家で繊維を焼いて、においや燃える様子、灰の色や形状で判別します。
  さて、今回は、紬を手に入れました。若いときは、紬にはあまり関心がなかったのですが、ひと年取ってみると、その素朴さのなかにある楚々とした気品に引かれるようになりました。ぱっと見た感じの豪華さはないけれど飽きの来ない深みというか ・・・。さぁ、これで何を作ろうか。布のイメージからすると長めのトップスか、軽く羽織れるコートドレスがいいかな。

【つくる】ステンドグラス

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8.ステンドグラス;和風ランプ
 3つ目の作品が、和風のテーブルランプです。平板から立体のステンドグラスへの挑戦です。初めての立体作品ということもあって、シンプルなデザインで制作することになりました。大正ロマン風を意識してデザインし、昼間は障子のような雰囲気のある白っぽいガラスを選びました。桜の花びらを敷き詰めたような透明・白・淡い桃色の幾重もの薄片ガラスで作られた美しいガラスです。
 このような立体作品をつくる時、数学の知識なくしては設計できません。ランプの高さに対して、自分の思い描く外形を計算して、一辺のガラスの形を割り出していきます。円周、角度、直角三角形の斜辺と他の二辺との関係式とルート計算。学校で習った数学を暮らしの中で初めて使ったような・・・。でも、そのおかげで、イメージ通りのデザインを型にすることができました。
 組み立てに際しては、平板ステンドグラス以上に「いい加減」が許されません。わずかな違いでも形が整わず、歪んでしまいます。なんどもグラインダー(ガラスを削る機械)にかけて、設計図通りのサイズに仕上げていきました。完成した時の喜びはひとしおです。

 完成して初めてわかったこと:昼間は桜の花びら舞うガラスですが、光を灯すと、いくつもの小さなハートがランプから飛び立っているような柄が浮かびあがります。素敵なステンドグラスマジックです。

参考:岡山倉敷ステンドグラス教室|サンステンド工芸教室

 

【つくる】ステンドグラス

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7.ステンドグラス;蝶のランプ
 次なる作品が、この蝶の平板ステンドグラスのランプです。もちろん、デザインはオリジナル。2作目にしては結構込み入ったもので、カーブも多い(初心者でガラスを曲線で切るというのは、言うまでもなく非常に難しいのです)。きっと先生からはダメだしがでるだろうなぁと思いながらデザイン画を見せたところ、「がんばってやってみたらいいよ」と、あっさりと認めて下さいました。内心は、苦笑いをされていたことでしょう。先生は、若い頃はボクサーだったそうですが、その後ハワイで暮らされ、そこでステンドグラスに出合い、修行を積まれたそうです。帰国後は、ステンドグラス作家として生計を立てていらっしゃいます。とてもとても几帳面で厳しい(元ボクサーだけあって、眼光が鋭く怖い・・・)方で、乾燥に使うドライヤーのコードの巻き方まで細かな注意をされます―《「いい加減」ではよい作品は作れない》ということなのでしょう。それを身にしみて感じたのがこの蝶の作品でした。型紙とは異なった1mm以下の微妙な大きさの違いで、ガラス配置がズレてしまって形になりません。教室の生徒の気質も日々の態度や言動から察して、作品以外のところでも細やかに教授されていたんだなぁと、厳しさの裏にある教えの意味を改めて感じます。