ひらく*つくる*暮らす

人生とは、自分でいくつもの扉をひらき、こつこつとつくりあげていくもの。イタリアと鳥取に住まうアラ還国際婚夫婦が、幸せになるヒントを追求&発信するblogです

『103歳になってわかったこと』(篠田桃紅)幻冬舎

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(4)「なにかに夢中になる」

 今、私が夢中になっていることといえば、《ものを創作する》ということです。一つは、ハンドメイド。もう一つは童話や絵本のストーリーを書くことです。30代の頃、地域で起こった大水害をもとに、大学生や地域の人たちと一緒に絵本(『きせきの子牛』ぎょうせい出版)をつくったことがあります。それをきっかけにこの世界が広がりました。
 その絵本は、「アルプスの少女ハイジ」「あらいぐまラスカル」「フランダースの犬」などの《世界名作劇場》や「ちびまる子ちゃん」を手がけた日本アニメーション(株)の方々がサポートくださり、宝くじ協会の助成金をいただいて出版されました(当時、地域の幼稚園、小学校、図書館などに無料配布されました)。お世話になった楠葉宏三監督(その後、「ドラえもん」の監督として活躍され、昨年3月にお亡くなりになりました)は、無償で私達の絵本づくりに尽力くださったのですが、その時におっしゃった言葉が忘れられません。「今は、視聴率優先の作品づくりになってしまって、かつての《世界名作劇場》の作品のような心が震える作品が作れなくなった。だから、私はこの絵本づくりができて、ひさしぶりにわくわくしているのです。」と。楠葉氏は、ちょうどNHK朝ドラの「なつぞら」より10年ほど後の世代にあたるかと思います。多摩にあるアニメーションの仕事場にお邪魔をさせていただき、どのようにして作品が生まれていくのか、そのプロセスやノウハウにも触れさせて頂きました。それ以来、童話や絵本の世界が私のなかで温まっていきました。
 今、退職してその世界に没頭しているわけですが、注意しないといけないなと思っていることがあります。それは、自分が夢中になって気づかないうちに、身近な人たちにもその粉を浴びせてしまう(夢のお裾分けならぬ押し売り?)ことです。よかれと思ってのことなのですが、人にはそれぞれ違った夢がありますから迷惑な話です。本気で夢に向かうなら、やはり、同人誌のメンバーになるなどして、同じ興味・関心を求める世界に足を踏み入れて切磋琢磨される勇気が必要なのだと思います。夢を追うレベルも自分で決めなくては。。。と思っているところです。
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 人というのは不思議な生き物、簡単に割り切れるものではないと私は思っています。とても偉いものでもないし、そう愚かなものでもないとは思いますが、不思議な生き物です。
 人というものが、どういうものであるか、わからないから、文学、芸術、哲学、さまざまな活動をして、人は模索しているのです。なんでこんなことをやるのだろう、ということを一生懸命にやっているのです。・・(中略)・・
 なにかに夢中になるものがないと、人は生きていて、なんだか頼りない。なにかに夢中になっていないのです。何かに夢中になっているときは、ほかのことを忘れられますし、言い換えれば、一つなにか自分が夢中になれるものを持つと、生きていて、人は救われるのだろうと思います。・・(中略)・・
 人はみな、なにかにすがっていたい、どこかによりかかるものがほしい。その一役を買ってくれるのが、なにかに夢中になることだと思います。(pp.67-69)
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